2018年3月11日(日)
経済のグローバル化が進み、日本国内の企業であっても、自社で取り扱う製品や部品に海外メーカー製のものを使うことはよく聞く話です。そのため、英文で資料を請求しなければならない場面も多く見受けられるようになりました。とはいっても、資料を請求する段階ではそれほど細かいテクニカルワードを駆使する必要もありませんので、英文ビジネスメールの基本を押さえれば十分でしょう。
また、最近ではデジタル化した資料を提供する企業も増えてきています。しかし、デジタル版を請求する場合の文章表現には、ちょっとしたコツが必要です。ここでは、英語で資料請求する場合のポイントについて解説します。
一般的に、ビジネス文書には定形フォーマットがあります。内容を迅速かつ正確に伝えるには、「一目でわかる構成」が重要なポイントだからです。それは和文でも英文でも同じです。英文のビジネスメールは、レターヘッド、日付、宛名、件名、頭語、本文、結び、署名の順に記述しますが、これも和文とほとんど変わりません。同じ人が出すメールであれば、日付、宛名、件名、本文など以外はほぼ同じ文面となります。
では、主な項目の注意点を確認しましょう。「レターヘッド」とは、用紙の上部にある会社のロゴなどが印刷された部分です。会社公式のメールにはレターヘッド入りの用紙を使うのが基本ですが、電子メールの場合は意識されないことが多くなっています。
「件名」は、簡潔かつ内容がわかるように書きましょう。
「頭語」は、和文では「拝啓」などにあたります。英文ではDear Mr./Ms. Smithなどです。
「本文」の最大のポイントは、結論から先に書くことです。日本語は英語と異なり結論が最後に表現されます。日本語思考をそのまま英文に直訳しても、説得力のある文章になりません。結論を先に持ってくる英語思考を意識しながら書きましょう。
「結び」は、「頭語」と同様に定形表現で、相手との関係によって使い分けます。
「署名」は、組織の一員としての立場で出すメールであれば、その組織名と所属部署も記入しましょう。
例えば英文でカタログの送付を依頼する場合は、「Could you please send me (us) product catalog?(御社の商品カタログを送っていただけますか?)」のような表現が一般的です。ビジネス・コミュニケーションの鉄則は、「明確な主張」を「丁寧に」表現することです。
ここで発信側が主張したいことは「send me (us) product catalog」ですが、このままでは命令的な表現になってしまいます。そこで、助動詞canの過去形を用いて「Could you please~」という疑問文の形をした依頼表現を使います。見せかけの過去形を使うことで遠回しな表現になり、丁寧な依頼を表すことができます。
ビジネス現場で発生するさまざまな作業のデジタル化は、カタログなどの資料フォーマットにも影響が及んでいます。
最近では、従来からの紙印刷版だけではなく、PDFなどのデジタル版も同時に配布することが一般化しています。そのようなデジタル版資料を請求するには、「Do you offer any digital versions of your catalog?(デジタル版のカタログは提供されていますか?)」などの表現で送付を依頼できます。
「Do you offer~?」は、出版物などが発行されているかを確認するときに一般的に使える表現です。
「any digital versions」は、「デジタル版であれば種類・形式を問わず」の意味になります。例えば、オフィスアプリケーションのスタンダードである「Wordフォーマット」や、OSプラットフォームに依存しない「PDFフォーマット」など、デジタル版であればいずれでも構わない、という意味が込められています。
海外のメーカーにカタログを請求することは、貿易関係以外の企業であっても日常的に行われています。ビジネスメールには定形表現があり、慣れればそれほど難しいことはありません。
ただし、いきなり仕事で請求するのは、上手くいかなかったときに職務遂行能力の査定に響くというのであれば、まずは個人的に請求してみるのもよいでしょう。海外の通販会社などに、英文メールの練習を兼ねてカタログ請求をしてみます。2〜3社請求すれば、英文にも慣れるでしょう。ぜひ、トライしてみてください。