2017年11月24日(金)
イギリスとアメリカで使われる言語はどちらも英語ですが、それぞれの国では綴りや発音が微妙に違うことを知っていますか?辞書でもイギリス英語は「BrE」、アメリカ英語は「AmE」と表記されるように、実際にはほぼ別の言語として分類されています。旅行や留学などを目的に英語を学習するにしても、滞在国が違うと勉強しなければならない英語は変わってくるのです。今回は、イギリスとアメリカで使われる英語の違いを紹介していきます。
イギリス英語とアメリカ英語の相違点は、「スペル」「単語の意味」「文法」「発音やイントネーション」と大きく4つあります。
例えば色を表す単語のスペルは「colour」と「color」、記憶するは「memorise」と「memorize」の違いがあり、いずれも前者はイギリス英語で、後者はアメリカ英語です。日本では後者のスペルで覚えている人が多いでしょうが、これは日本がアメリカ英語をメインに学んでいるからです。
また、単語の意味の違いとして「football(イギリス)」と「soccer(アメリカ)」は同じ競技を指すのに、使用する単語は異なります。
文法の違いとして代表的なのは「物を持つ」意味として「have got(イギリス)」「have(アメリカ)」が挙げられます。
発音やイントネーションの違いが顕著に現れるのは「Are you happy?」のように、Yes/Noを問う際にイギリスは下がり口調、アメリカは上がり口調を使います。
そもそも、イギリスとアメリカの英語に違いが生じたのは、どのような経緯があったからなのでしょうか。アメリカがイギリスから独立して間もない18世紀頃は、両者の言語は同じでしたが、言語の変化が起こったのはイギリスです。ロンドンと近郊に住み、産業革命によって財をなした新興の富裕層が、庶民との差別化を図るために使う言葉のアクセントを微妙に変えていました。この独特の訛りを、辞書を編さんしていた著名な音声学者なども用いるようになり、市民層に言語を教えていくことによって普及、標準化されたのです。一方、分家であるアメリカ英語は当時の英語がそのまま温存され現在に至ります。本家のイギリスのほうが時代とともに英語の姿を変えていったのです。
アメリカ英語とイギリス英語は、同じ意味でも使用する単語が違うことは先でも述べましたが、同じ単語でも米・英で意味が異なる単語もあります。例えば、first floorはアメリカでは1階を意味しますが、イギリスでは2階を意味しており、ground floorが1階にあたります。同様に、homelyはアメリカだと容貌が醜いことを指しますが、イギリスでは家庭的と全く違う意味になります。ほかにも、jumperはジャンパードレス(米)とセーター(英)、apartmentは共同住宅と居住区画、trolleyは路面電車とショッピングカート、chipsだとポテトチップスとフライドポテトといったように数え上げたらきりがないほどです。イギリスでアメリカ英語を話す、またはアメリカでイギリス英語を話すと思いもよらない反応が返ってくるので十分注意しましょう。
アメリカ英語とイギリス英語のどちらを習得したほうがいいのか迷っている人は、まずアメリカ英語から学ぶことをお勧めします。日本の教育制度で学ぶのはアメリカ英語なので、発音やつづりをそのまま引き継ぎ違和感なく勉強することができるでしょう。また、世界においてメジャーなのはアメリカ英語なので、英語圏のどこでも通じやすいのです。
では、イギリス英語は学ぶ必要がないのかと言えば、そんなことはありません。イギリスに留学したり仕事で長期駐在するのであれば、当然イギリス英語を学んだほうがいいでしょうし、また、国際会議のような場では「フォーマル英語」としてイギリス英語が使われることも多いです。両者の言語は世界中で使われているため、両方の特徴を理解しつつ勉強を進めていくと、世界で食い違いのないコミュニケーションを取れるでしょう。